ジュトン

作 望月あきら

あらすじ

 汐見学園のスーパースター石巻淳は、有名画家の父・陽一郎の葬儀の後に、死んだと聞かされていた母・竜子に引き取られることになる。
 竜子はフランス政財界の実力者であるロンシャンと再婚し、フランスに住んでいたのだ。
竜子は野望を秘めており、息子である淳をロンシャン家に継がせるために淳を引き取ったのであった。当初は、双子の兄のクロードに継がせようとしていたが、クロードは父・陽一郎に似て大人しい性格で、竜子の野望に加担しようとはしなかった。そこで、淳がクロードに成りすますために呼ばれたのである。
淳は竜子の血を濃く受け継いでおり、母の野望を知っても、動じることなく野望に加担することになる。
だが、ロンシャンには前妻との間に4人の子供がおり、それぞれロンシャン家を継ごうと野望を秘めていた。
 フランスでの新しい生活をスタートさせた淳の前に、クロードを良く知る女性が現れ、淳がクロードではないと気づく。
また、異母兄弟の一人ルネは淳を殺害するために罠をしかけるのであった。
淳の運命や如何に。

 

 少年誌では珍しいタイプのドラマで、どちらかといえば少女まんが向きの作品。(少年誌では本宮マンガのように力でのし上るマンガは多いが、策を弄してのし上るキャラはイマイチ受けが良くないようだ。 )
 作品は、TVドラマ化されてもおかしくないくらいしっかり作られているが、残念な事に途中で終わってしまっている。不人気だったと容易に想像は付くが、少年チャンピオン自体が転換を求められていた時期で、誌面のてこ入れの犠牲であったともいえそうだ。
 しっかり作られたドラマだが、読んでいて不思議に思うこともあるのは事実。
まず、淳も竜子の息子であることは間違いないわけだから、クロードの代わりではなく、淳本人でも問題ないのでは?
ロンシャンは家を継ぐのに血は関係ないと言っているので、竜子も2人の息子を連れ子にしても問題なかろう。
また、父・陽一郎がフランス語を小さい頃から教えていたというが、いきなりフランスに行って、フランス育ちのクロードに成りすますことができるだろうか?言葉や習慣など色々とあると思うが。(ここらへんは大した問題ではないが。別にフランスが舞台でなくてもいいわけだから)

望月氏のコメントがコミックに添えてあるので紹介しておこう。
「まんがは食べ物でいうならおやつです。おやつを食べ過ぎると主食が食べられず、栄養のバランスが悪くなったりおなかを壊したりします。
まんがを見るのも同じです。(中略)
まんがは頭を休めたり、ひまつぶしに見てください。」
どうやら、氏のメッセージは世間のまんがファンには届かなかったようである。

 

 

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